恋花ロマンチカ

そのまま片桐先輩は、男子生徒から何かを受け取って、話し始めてしまった。


なんで、連れてこられたのかな。

もしかして、一人でここまで来るのが嫌だったとか?

そんな子どもじみた理由で連れ回されたのか。だったら不本意極まりない。

「戻りますね」

「なんで?」

当然のように、片桐先輩は首を傾げる。

なんで?とは。こっちが"なんで?"なのだけど。

「友達と一緒ならあたしがここにいる理由ありませんよね」

「へー。今度の彼女、塩対応なんだ」

しまった。そういえば、他に人が居たんだった。

「いや、あの、ほら、先輩たちの中に一人って、緊張しちゃって」

ははは、嘘の中に本音を交えて、苦し紛れの理由を告げる。

「あ、そっか、付き合ってすぐなら、二人で居たいよね」

……はい?

しかしながら、女の先輩は、別の援護射撃をくれた。

「なる〜。邪魔者が退散するね〜」

いや、こっちが退散するんですけど!?

あたしの心の叫びなど聞こえるはずもなく、あとでね〜なんて、弾む声が階段の下へ消えて行く。

口を閉じることを忘れて見上げれば、片桐先輩は鼻で笑うと薄らと口角を上げて「そうなんだ?」と、馬鹿にしたような態度なので、口を尖らすと、ぷい、とそっぽを向いた。