恋花ロマンチカ

その場所には、数名の生徒が屯っていた。女子も男子も同じ割合だけど「巧、遅かったね〜」仲良さげな言葉を聞く限り、先輩だ。途端に萎縮し、片桐先輩の背中に隠れる。

片桐先輩にはもう幾らか慣れたけれど、他の先輩は慣れっこない。

「あれ?巧ひとり?みんなは?」

「知らなーい」

「喧嘩した?最近の巧、シカトされ続けてない?」

「あれそろそろウザいよね」

うける、なんて、それっぽっちも感じない声で、無駄に広い階段を上る片桐先輩。磁石みたいに、背中に引っ付いたまま後を追うあたし。

嫌でも視界の端に入る、まん丸の瞳。ぎこちなく振り向けば「新しい彼女?」ふわふわのツインテールが、動作に倣ってゆらりと揺れた。

一定して借りてきた猫のあたしは「こ、こんにちわ……」と、ぜんまいが切れかけた玩具のようにお辞儀をする。

「へぇ、イメージ違う〜」

「どしたの巧」

あたしを見て率直な感想をくれるその人たちへ向かって

「友達の彼女と、友達のセフレと、友達のストーカー」

説明と言っていいのか分からない雑な説明を片桐先輩はしてくれた。

「ストーカーって!酷!」

「ストーカーじゃん」

「じゃあストーカーらしくストーカーしてくる!」

開き直ったツインテールの可愛らしい先輩は、階段を駆け下りてしまった。

セフレ等という屈辱的な説明を受けた人は、意外にも反論せずに大人っぽく微笑むので、どきり、思わず胸が高鳴る。