恋花ロマンチカ




物思いに耽っていた意識が戻り、見上げた。

長い襟足、甘い香り、気だるげな空気を纏う人。

一度見たら目が離せない、危なげな空気を醸す人。

香りに誘われるま足を動かす。

この一週間、考えても分からない事だらけだ。そのうちの最たるものが、これ。


─────なんで、あたしなのか。


〝そんな子探してた〟

片桐先輩はあの日さらりと告げたけれど、そんな子って一体どういう事?

考えても、あたしの脳内は答えを教えてくれない。だけど、聞いてもはぐらかされるのだろう。

頭の中でも目の前の人でいっぱいにさせていると、顔面が何かにぶつかった。何か、ではなく、片桐先輩の背中だ。


「す、すみませ……」

「ちゃんと前見てくださーい」


鼻を擦りながら周囲を見渡すと、あまり見慣れない景色だ。場所見知りするあたしを他所に、片桐先輩は鉄格子のドアを開けるので、足元を追う。