一週間。あたしの毎日が空気を変えた期間。
だけど、あたしだって、何も黙って指を咥えていた訳では無い。敵情視察だ。彼の情報を上書きしようと少ない算段を使って勤しんでいたのだ。
まずは観察。彼は良く、渡り廊下を通っている。
あたしが住む教室から良く見えるその場所を彼が通る度に、自分に向けられる歓声に応えているみたい。
ひっそりと隅に佇むあたしには目もくれず、ただ仮面のような王子スマイルを女子達に披露しているのだ。
あんな笑顔、よく出せるなぁと感心する。
彼はどうやら同じ三階の住人らしいので、その場面には良く出会す。
それから情報収集。これは同じクラスの綾瀬さんに恥を忍んで尋ねた。
「まじで付き合ってんの?」
「……は、はい。お試しですね……」
「ふぅ〜ん」
まるで興味なさそうな相槌に、苦笑いを浮かべた。
綾瀬さんは所謂陽キャの筆頭で、片桐先輩はじめイケメン軍団とやらを見付けるとすぐに追い掛けてお近付きに行くタイプの女の子。
今まで関わる事と言えば掃除当番を代わるか予習のノートを見せるか……体良く扱われる存在だったのに、少しの違和感が残ることも否めない。
だけど、そうだな。金髪で綺麗に巻いた髪の毛は眩しいけど意外と良い人なのかもしれない。



