恋花ロマンチカ

「せんぱーい、俺の彼女いじめないで?」

「付き合ってるって……本気なの?」

「本気だよ〜」

「だってこの子だよ!?全然可愛くないし地味だし垢抜けてないし中学生みたいだよ!?」

4ヒット、ナイスコンボだ。

分かっちゃいるけど、その鋭いナイフの切れ味は抜群にあたしの心を抉るので、笑顔が遂に引き攣った。

「別に誰と付き合おうが俺の勝手だし」

「……じゃあ何で他の子切るわけ?」

「え、うざ、何でそんな事いちいち言わなきゃなんねぇの」

「だって今までの巧は彼女居てもさぁ」

「居ても、なに?」

少し冷たくなった声色。広い背中からちらりと覗けば、女子たちがしゅんと寂しげに俯く姿が目に映った。

忘れてた。彼女たちはあたしと決定的に違うことがある。

…………片桐先輩に少なからず気持ちを抱いている。


「一回ヤッただけで彼女面する女、くそうぜぇ」


なのに、この人ときたら。

「ちょっと、女の子ですよ!」

「見りゃ分かる」

こっそりと背中に呟けば、片桐先輩は振り向きもせずに気だるげにぼやく。

女の子に酷いこと言っておいて、蔑ろにする態度。

「じゃあ、別れたら一番に声掛けてよね?」

「別れたらねぇ〜」

「うん、またねぇ」

しかし当の先輩方ときたら人の気も知らずに、あざとさの残る笑顔を振り撒くと、さっさと帰ってしまった。