「どうでもいい?」
呟いた片桐先輩の表情が変わる。漆黒の髪から覗く瞳は妖しい色気を帯びた。
片桐先輩が腰を折るとあたしの耳元にその顔が近寄り、再度心臓は耳に張り付く。
「色んな子に告白されるけれど、告白をどうでもいいって言う子、初めてだなぁ」
おちゃらけた雰囲気なんてもうなくて、怜悧な視線が向けられた。
確かに、言うべきじゃ無かった……。
「ご、ごめんなさい……言いすぎました。今のは忘れて大丈夫なので、失礼します」
踵を返そうとすれば腕を取られてしまい、強引に引き留められる。
再び至近距離に現れる、勝ち誇るように見下ろす瞳。
「忘れないよ」
「は…?」
「ちゃんと聞いたからね」
「…何を」
胸には不安しか残らないのに、ニコリ、柔らかな天使のように、綺麗な笑顔を作る目の前の王子様。
おかげであたしの心は刹那、小さな希望が宿る。
「俺と付き合おうか」
しかし、満面の笑みを浮かべた天使が告げた言葉は、いとも簡単にあたしを崖から突き落とした。
「……い、イヤですっ!!」
「はぁ?」
「あたし達はお互い、お互いの事を好きじゃありません!恋人ってそういう関係じゃないですよね!?」
「じゃあなんで今、告白したの?」
「…それは」
片桐先輩は尚も詰め寄るけれど、あたしの脳内は正解を必死で探し回る。
どう答えたら良いんだろう。
『ジンクス試しに来ました!フッて下さい!』と、素直に言う?…いや、きっと間違いだ。
片桐先輩が周りに、『昨日変な1年から変な告られ方したんだけど』なんて言いふらすに違いない。
それだけはダメ!ノーノーノー!!
学校のインフルエンサーにそんな事言われた暁には……あたしが必死に積み上げてきたものを簡単に崩してしまうに違いない。
先生やクラスメイトの頼み事を聞いて、無害で役に立つアピールをして…温和で平和な高校生活を送ろうとしていたのに。
しかし、種を撒いたのは紛れも無くあたしだ。
呟いた片桐先輩の表情が変わる。漆黒の髪から覗く瞳は妖しい色気を帯びた。
片桐先輩が腰を折るとあたしの耳元にその顔が近寄り、再度心臓は耳に張り付く。
「色んな子に告白されるけれど、告白をどうでもいいって言う子、初めてだなぁ」
おちゃらけた雰囲気なんてもうなくて、怜悧な視線が向けられた。
確かに、言うべきじゃ無かった……。
「ご、ごめんなさい……言いすぎました。今のは忘れて大丈夫なので、失礼します」
踵を返そうとすれば腕を取られてしまい、強引に引き留められる。
再び至近距離に現れる、勝ち誇るように見下ろす瞳。
「忘れないよ」
「は…?」
「ちゃんと聞いたからね」
「…何を」
胸には不安しか残らないのに、ニコリ、柔らかな天使のように、綺麗な笑顔を作る目の前の王子様。
おかげであたしの心は刹那、小さな希望が宿る。
「俺と付き合おうか」
しかし、満面の笑みを浮かべた天使が告げた言葉は、いとも簡単にあたしを崖から突き落とした。
「……い、イヤですっ!!」
「はぁ?」
「あたし達はお互い、お互いの事を好きじゃありません!恋人ってそういう関係じゃないですよね!?」
「じゃあなんで今、告白したの?」
「…それは」
片桐先輩は尚も詰め寄るけれど、あたしの脳内は正解を必死で探し回る。
どう答えたら良いんだろう。
『ジンクス試しに来ました!フッて下さい!』と、素直に言う?…いや、きっと間違いだ。
片桐先輩が周りに、『昨日変な1年から変な告られ方したんだけど』なんて言いふらすに違いない。
それだけはダメ!ノーノーノー!!
学校のインフルエンサーにそんな事言われた暁には……あたしが必死に積み上げてきたものを簡単に崩してしまうに違いない。
先生やクラスメイトの頼み事を聞いて、無害で役に立つアピールをして…温和で平和な高校生活を送ろうとしていたのに。
しかし、種を撒いたのは紛れも無くあたしだ。



