膝から下の感覚が無くなった心地がする。
片桐先輩の口から短く息が漏れて、次第に小さく肩が揺れた。
「は、早く!フッてください!!」
「…告ったと思えば、フッて。何がしたいの君」
馬鹿にされてるのは見て取れる。だけど、なりふり構っていられない。
こうなったら、早く振られて早く帰れば良い彼氏が出来る!
正解のルートはもうこれ以外ないから、眉根を寄せて、瞳に力を込める。
すると、片桐先輩の色気のある瞳もまた、計算したみたいに緩くなる。
「俺の事、好きなの?」
「好きじゃないです!」
「じゃあ相手間違えた?」
「間違えてないです!」
あぁ、もうこの際間違えたって言って帰れば良かった…!!
片桐先輩は重心をずらし、腕を組んで見定める様に見下ろす。
「ふーん、じゃあなに、罰ゲーム?」
「違います」
「まじで何がしたいの」
「もう、どうでもいいから、はやく!」
だからあたしは、答えを、急かす。



