空と海と、願いごと

「意地張ってないで、空と帰りなよ」

「意地なんて張ってないよ!」

「じゃあ……、わたしと帰る?」

 つまんない意地を張り続ける暉くんに呆れ顔で尋ねたら、彼がびっくりしたように目を見開いた。

「はあ? なんで、あんたなんかと……」

「だって、空の誘いは『友達と帰るから』って断っちゃったんだもん。でもわたし、転入1日目でちょっとやらかしちゃって……。ほんとうはいっしょに帰る友達いないんだよね」

「やっぱり、性格悪いんじゃん」

「違うよ」

「違わないでしょ」

 ふんっと鼻を鳴らすと、暉くんはほうきを持って歩いて行ってしまう。その態度は、すごく感じが悪かった。

 でも、暉くんはきっと戻ってくる。なぜかわたしにはそんな確信があった。

 思ったとおり、しばらく待っていると暉くんがカバンを持って戻ってくる。