空と海と、願いごと

「こんなことされたって、おれはあんたのこと嫌いなままだからね」

「いいよ、べつに。わたしは暉くんに空と仲直りしてもらいたいだけで、暉くんから好かれようなんて思ってないし」

 ツンとした声で言うと、暉くんが悔しそうにわたしを睨んできた。

「あんた、けっこう性格悪いね」

「わがまま、かまってちゃんの暉くんにだけは言われたくないけどね」

 言い返したら、暉くんがむっとした顔で立ち上がった。

「それ片付けたら、空のクラス行ってみなよ。ホームルーム長引いてる雰囲気だったから、いっしょに帰れると思う」

 ほうきを持って階段を上がっていく暉くんに声をかけると、彼がむっとした顔のまま振り向く。

「いちいちうるさいな。そっちが空くんといっしょに帰ればいいじゃん。そのほうが、空くんも喜ぶでしょ」

 せっかく仲直りのきっかけを作ってあげようとしてるんだから、素直に空に謝りにいけばいいのに。ひねくれたことばっかり言う暉くんは、性格がちっともかわいくない。