空と海と、願いごと

 わたしは暉くんとは全然仲良くないし、むしろ嫌われてるけど……。それでも、知り合いの悪口を聞かされるのはあまりいい気分じゃない。

 わたしはこれ以上、暉くんの悪口を聞こえないように、早足で階段を降りた。

 ワンフロア下の階では、暉くんが壁にもたれてほうきで床を掃いていた。と言っても、ダルそうに同じ場所をほうきで撫でているだけで、少しも真面目に掃除をしてない。

 そういうところが、悪く言われる原因になっちゃうんだよ。

 呆れ顔で見ていると、わたしの視線に気付いた暉くんがウザそうに睨んできた。

 せっかく、かわいくて整った顔をしてるのに。ウザそうにわたしを睨む暉くんは、めちゃくちゃ性格が悪そうに見える。

「同じグループの子達は、もう掃除終わらせてたみたいだよ」

 いちおう親切に教えてあげたのに、暉くんはプイッと顔をそらすと、わたしを無視して行こうとする。