空と海と、願いごと

「ごめん……。なんか、朝早く目覚め過ぎちゃって」

「だとしても、家出るのは待っててくれたらよかったのに」

「ごめん、ごめん。早朝の空気を吸いたい気分だったから」

「なにそれ」

 ヘラっと笑って謝ったけど、空は不満そうだ。

「空は、暉くんと一緒に学校に来たの?」

 昨日のこと、仲直りできたかな。探りをいれるつもりで聞いてみたら、空が顔をしかめて首を横に振った。

「暉とも来てないよ。昨日のこと拗ねてるみたいで、食堂で顔合わせだけど無視された。真凛もいないし、今日はひとりで寂しく登校してきたよ」

 空は恨みがしくそう言ってきたけど、わたしは暉くんがちょっと心配だった。

 せっかく気を利かせて先に家を出たのに。暉くんのほうが頑なになってるなら、仲直りには時間がかかっちゃうかもしれない。

「真凛、帰りは一緒に帰ろうよ。昨日みたいに迎えに来るし」

 空が誘ってくれたけど、わたしはやっぱり、暉くんのことが気になってしまった。