空と海と、願いごと

「え、っと……。わたし、お礼言わなきゃと思ってて。昨日はありがとう」

「昨日?」

「ほら、暉くんがママの料理をひっくり返して出て行こうとしたとき、海くん、怒ってくれたでしょう」

「ああ」

「海くんが冷静に話してくれなかったら、わたし、暉くんのことを感情的に怒鳴ってたかも。だから、代わりに言ってくれてありがとね」

「結局、謝らずに出て行ったけどな」

「そうだね……」

 わたしが苦笑いを返すと、海くんがほんの少し目を細める。

「悪かったな。真凛のママにも真凛にも嫌な思いさせて」

「海くんが謝ることじゃないよ」

 首を横に振ると、海くんがほっとしたように頬をゆるめた。