空と海と、願いごと

「夏のリニューアルで、お客さんが増えるといいね」

「ほんと、それ。じゃあ、おれ、本館のほうも掃除してくるね」

 陸くんはわたしに爽やかな笑顔をみせると、手を振って洗面所から出て行った。

 陸くんを見送ると、わたしも顔を洗って食堂へと向かう。

 調理場では、ママが卵焼きとお味噌汁を作っていた。今日の朝ごはんは和食らしい。

「おはよう、ママ」

「あら、真凛。おはよう。今日は早いのね」

「うん、ちょっと早めに学校に行こうかと思って」

「そう。新しい学校はどう?」

 ママが話しながら、わたしの分のごはんをお茶碗によそってくれる。

 うーん。どう? って言われてもな……。まさか、転入初日からクラスの女子と揉めて友達ゼロかも……とは言えない。

 ちょっと考えてから、

「……、ふつうだよ」

 と答えたら、

「ふつうって何よ」

 と、ママに苦笑いされた。