空と海と、願いごと

 暉くんが出て行くと、食堂がシーンとなる。

 わたしは、暉くんがくんがママに謝ってもらいたかっただけなのにな。

 このまま放っておいたら、暉くんと空や海くんの関係か悪くならないかな……。

「大丈夫かな、暉くん……」

 心配するわたしの隣で、空が「大丈夫、大丈夫」と呆れ顔で笑う。

「暉は昔から、自分の思い通りにならないことがあるとすぐにふてくされちゃうんだよね。ほっとけば、そのうち機嫌直るよ」

 暉くんがあんなふうに部屋を飛び出して行くのはあまり珍しいことでもないのか、空はまったく気にしていない。   

 海くんも無表情のままで、一番年上の陸くんだけが、困ったように眉を下げていた。

「空が言うように、そのうち機嫌直すとは思うよ。だけど暉は結構繊細なんだからさ、真凛がいても今までどおりにかまってやらないと」

 陸くんが言うと、空が「かまってるよ」と、少し面倒くさそうに返事する。