空と海と、願いごと

「え、まだ食べるの?」

 寄り道してクレープを食べてきたのに、男の子の食欲ってすごいな……。

 びっくりして目を見開いていると、誰かが食堂の前の階段を勢いよく駆け降りてきた。

「空くん……!」

 空の名前を叫んで食堂に飛び込んできたのは、暉くん。

「空くん、いつ帰ってきたの?」

「今さっきだよ」

 わたしにくっつくように並んで焼きそばを食べていた空が、にこっと笑う。その反応に、暉くんがピクリと頬を引きつらせた。

「空くん、なんで今日は先に帰っちゃったの?」

「なんで、って。おれ、ライン入れたよ。今日は真凛と帰るって」

 顔を赤くして唇を震わせている暉くんを見て、空がきょとんと首をかしげる。そんな空の反応に、暉くんはますます顔を赤くした。

「その連絡くれたの、空くんが学校出てからだったよね?」 

「ああ、ごめん。早めに連絡入れようと思ってたんだけど、忘れてたんだよ」

「忘れてたの? 毎日一緒に帰ってたのに?」

 声を震わせながら空に尋ねる暉くんは、今にも泣き出しそうだ。