正直、どの部屋でも一緒じゃんって感じだけど……。
「じゃあ、ここ」
一番奥の小さめの部屋を自分用に選んで荷物を置く。
部屋の窓には障子の格子戸がついていて、何気なく開くと、窓のサッシに小さな蜘蛛の巣があった。
部屋はわたし達が来るまでに掃除されているような雰囲気だったけど、太一さんも、窓の掃除にまでは手が回らなかったのかもしれない。
やだな。虫、嫌いなんだけど……。
顔をしかめると、見なかったフリをして、パタンと障子の戸を閉める。
やだなあ。これから、こんなところで暮らすなんて。
はぁーっと深いため息を吐いていると、部屋の外からパパとママに呼ばれた。
「真凛ー、荷物置いたら出てきて」
「食堂でお昼にするって。ここのみんなに挨拶しに行こう」
ここのみんな……、か。
パパたちの言葉に、どっと気が重くなる。
たいようの家のオーナー・太一さんには、子どもが3人いるらしい。それも、みんなわたしと同じくらいの中学生の男の子なんだとか。
ただでさえ、田舎町のぼろ民宿に連れてこられて気分が萎えまくりなのに……。
ここで、パパの友達家族と共同生活しなくちゃならないなんて……。ほんと、最悪……。
わたしは引っ越しなんてしたくなかったのに。
こんなことになっているのは、パパのせいだ――!



