空と海と、願いごと

「だろうね。あの子達が話しかけてきた目的が、空や陸くんに近づくためっていうのは見え見えだったもん。でも、初対面のわたしに対してあれは失礼じゃない? 『あなたには興味ありませんけどね』って言われてるみたいですっごく気分悪かった」

 隠すことなく思ったままの感情を口にすると、海くんが、ふっと笑う。

「なんか、昔よりも気が強くなってんな」

 昔って、3年前のことかな。そういえば海くんも、わたしが覚えていない小5の夏を知っているんだ。

 海くんとまともに話すのは今が初めてなのに、わたしのことを知ったふうに話されるのがちょっとむかつく。

「そう言う海くんは、陸くんや空と違ってモテないっぽいね。朝話した子達、陸くんと空と暉くんの名前まで出してたのに、海くんの名前だけは出なかったよ。顔は空とよく似てるのに」

「真凛、性格も悪くなったな」

 わたしはちょっと嫌みのつもりで言ったのに。海くんが楽し気に、ふはっと笑うから調子が狂う。

「わたしは、元からこんなだよ」

「ふーん。じゃあ、3年前の真凛は猫被ってたんだ」

「知らないよ。ていうか、海くん。わたしが引っ越してきたから、家ではほとんど話しかけてこなかったのに急に何? わたしのこと、嫌ってたんじゃないの?」

 そう言うと、なぜか海くんが、きょとんとした顔でわたしを見てきた。