空と海と、願いごと

「はは。気にしないで、ゆり子さん。うちも似たようなものだから」

「太一さんのとこは、男の子ばかりだから大変よね」

「まあ……、そうかな。立ち話もなんだし、中に入ってよ。ちょうどお昼用意したところで、子どもたちも食堂に集まってるから。あ、荷物は? 運ぶの手伝う」

「助かる」

 太一さんが車の後ろに周って、パパたちと荷物をおろしている間、わたしは『たいようの家』の周りをあらためてゆっくりと見回した。

 近くに隣り合う家やマンションはなく、さっき通ってきた海沿いの道よりも少し高い場所に建っている『たいようの家』からは、海岸が見おろせる。

 昨日まで住んでいた東京のマンションの周りには、大きなビルが立ち並び、近くにはコンビニやショッピングモールがあって。近くには電車も走っていた。

 だけど――。ここにはなにもない。

 あるのは、見た目のぼろい民宿と、空と海。それだけ。

 わたし、これからほんとうにここで暮らすの――?

 服やコスメや、可愛い雑貨を買いに行ける店は近くにあるのかな……。

 本屋は? コンビニは? 美味しいスイーツが食べられるお店は?

 太陽の光に反射してチカチカ光る海を見つめながら軽く絶望していると、ママに呼ばれた。