空と海と、願いごと

 最初は石倉さん達の前で浮かべていた笑顔も、だんだんとひきつってきて。

「ねえ、真凛ちゃん。今度、真凛ちゃん家に遊びに行っていい?」

 まだ仲良くもなっていない石倉さんに、そんなふうに尋ねられて、全然うまく笑えなかった。

「いや。それはちょっと……」

「え?」

 わたしの反応に、石倉さんはもちろん、太田さんと小池さんの顔もひきつる。

 これ以上言うのはまずいかな。石倉さん達の顔を見て一瞬そう思ったけど、わたしの気持ちも無視して勝手に盛り上がっていたのはこの子達のほう。

 だから、よくないって頭ではわかってて言ってしまった。

「わたしの家族はただ居候させてもらってるだけで、あの民宿は空達の家だから。空や陸くんと仲良くなりたいなら、自分で声かけたらいいんじゃない?」

 自分でも、けっこう冷たい言い方だったと思う。さっきまでにこにこしていたはずの石倉さん達が、目尻をつりあげてわたしをにらんでくる。

「わかった。ありがとう」

 石倉さんが少しも心のこもってない声でお礼を言ってくる。それからすぐにわたしから顔をそらすと「行こう」と太田さん達ふたりを引き連れて離れて行った。その様子を、周りにいたクラスメートたちが微妙そうな目で見ている。

 なんか空気悪いけど、これってわたしが悪いの……?このままじゃ、新しい学校で友達ゼロかも。

 ちょっと……。というか、かなり不安になったけど、言ってしまった言葉は取り消せない。

 仕方なくひとりで席に座っていると、担任の先生がやってきて。わたしは黒板の前でみんなに挨拶をさせられた。