空と海と、願いごと

「それに、空くん、1年生のときに雑誌に載ったこともあるんだよ。街に出たときに写真撮られたらしいんだけど、『おしゃれな子を見つける』って企画で……」

 にこにこ笑う空の顔を思い出しながらうなずくわたしに、石倉さん達がぺらぺらと話し続ける。

 3人とも、わたしがどんな反応をしてるかなんて気にしてない。ただ、自分たちの話したいことを一方的にしゃべっている感じだ。

「空くんもかっこいいけど、空くんにいつもくっついてる1年の従兄弟もかわいいよね」

 暉くんのことだよね……。

「それに、生徒会長の陸先輩も。イベントでみんなの前に立ってるときとか、かっこよすぎてまぶしいよね」

「部活の先輩が言ってたけど、頭もいいし、運動できるし、優しいし。完璧だって」

 ふーん。陸くんは学校でもそんな感じなんだ。

「真凛ちゃん、家でも空くんや陸先輩と話したりするの?」

「うーん、まあ。ごはん食べるときとかは……」

「一緒にごはん食べれるのいいな」

「うんうん、空くん達と同じ家で同じ空気吸えるのがうらやましい!」

 石倉さん達が『たいようの家』の男の子たちの話で盛り上がれば盛り上がるほど、わたしの気持ちはちょっとずつ冷めていく。

 けっきょくこの子達は、わたしじゃなくて、空のほうに興味があって話しかけてきたんだ……。そう思うと、複雑な気持ちになってくる。