「うん。空のお父さんとわたしのお父さんが友達なんだ。わたしのお父さんが、空のうちがやってる民宿のお手伝いをすることになって。それで、家族みんなで空のうちの民宿の離れに引っ越してきたの」

「へえ〜。それって、真凛ちゃんちの家族と空くんちの家族で同じ家に住んでるってことだよね?」

「まあ、そうだね」

 わたしが頷くと、石倉さんたち3人はお互いにちょっと顔を見合わせて「いいなあ」とつぶやいた。

「いい、の――?」

 東京から、田舎の海の町に連れてこられたことが……?

 うらやましがられる理由がわからなくて首をかしげると、石倉さん達がキラキラした目でわたしのことを見てきた。

「うん。空くんと同じ家に住んでるなんて、すごいうらやましい!」

「そうかな……?」

「そうだよ。だって、空くんかっこいいし、うちの学年の女子にすっごく人気なんだよ」

「そう、なんだ……」

「そうだよ〜」

 たしかに、空は見た目はかっこいいし。ちょっとチャラい感じはするけど、女の子に優しそうだもんな。