空と海と、願いごと

「うん。真凛のことを助けたのはおれだよ。それも、おれのお守り。死んだ母さんが作ってくれたやつ」

 空が笑顔でそう言って、わたしの手からお守りをとって首にかける。

「そ、っか……。空が、わたしに気付いてくれたんだね。ありがとう」

 ふわっと笑いかけると、空が照れくさそうに少し目をそらして「うん」と言う。

 やっぱり……。食堂で挨拶したときから、空は『たいようの家』の男の子たちの中で一番フレンドリーだったし。助けてくれた男の子が空だったっていうのもすごく納得。

 だけど、どうしてだろう。空の笑顔や言葉に、少し違和感があるような……。

 Tシャツの上からシャツを重ね着した空の首から下がるお守りが、あんまり服に似合ってないからかな。

 わたしは空の顔とお守りを見比べて首をかしげると、もうひとつ、気になることを聞いてみることにした。

「あのね、空。ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな」

「なに?」

「ちょっとおかしな質問だとは思うんだけど……。さっき空に助けてもらっとき、なんだかすごくなつかしい感じがしたんだ」

「なつかしい?」

 わたしの話を聞きながら、空がほんの少し眉間を寄せる。