空と海と、願いごと

「ねえ、空。わたしのことを助けてくれたのって誰?」

 手の中のお守りを見せながら尋ねると、空がほんの一瞬、顔をこわばらせた。

「気になるの?」

「うん……。ちゃんとお礼を言いたい。そのひとが、これを握りしめたわたしのことをずっと抱きしめてくれてたの。そのひとのおかげで、気持ちが落ち着いてパニックもおさまったんだ」

「そ、っか……」

「ぼーっとしてたから顔まではよく覚えてないんだけど、そのひと、金色か明るい茶色の髪をしていたような気がするの」

 ちょうど、『たいようの家』の男の子たちみたいな……。

 記憶の中にある髪の色と近いのは、空と海くん。だけど、陸くんや暉くんだって地毛が綺麗な茶色だ。ぼーっとしてたから金色っぽく見えただけで、実際には茶髪だったかもしれない。

「もしかして、わたしを助けてくれたのは、『たいようの家』の誰か?」

 尋ねると、空が無表情でペットボトルの蓋を閉めて畳の上に置く。それからわたしのほうを向くと、にこっと笑いかけてきた。