あれ、そういえば……。前にもこんなふうに助けられたことがあったような……。

 夢見心地でゆっくりと目を閉じたとき、わたしの額になにかが優しくそっと触れた。その感覚にも、なんとなく覚えがあるような気がするんだけど……。頭がぼんやりとして、ちゃんと思い出せない。

 抱きしめてくれる男の子の腕の中はすごく温かくて、潮風みたいな爽やかな香りがした。目を閉じていてもわかるそのぬくもりと香りは、なんだかとてもなつかしくて。わたしの気持ちを落ち着かせてくれる。

 わたしを助けてくれる優しい人は、いったい誰なんだろう。理由なんてわからないけど、わたしはずっと、この優しいぬくもりを探していたような気がする。

 ねえ――。わたしをピンチから救ってくれる、王子様みたいな君は誰――?