「裏切者……」
ぼそっとつぶやくと、スマホを畳の上に置いて寝転ぶ。しばらく木の天井をにらんでいたけど、モヤモヤした気持ちはおさまらない。
この部屋に、気を紛らわせるものがなさすぎるからだ。
そう思ったわたしは、『たいようの家』の外に出てみることにした。
スマホを持っていくかどうか迷ったけど、またミサやシオリからラインがきたら嫌な気持ちになりそうな気がして。部屋に置いていく。
階段を降りて、渡り廊下を本館のほうに渡って。エンジ色の絨毯の敷かれたロビーを抜けて、靴を履く。民宿の玄関のガラス戸を押し開けて外に出ると、そこで、バッタリと海くんに鉢合わせた。
外の掃き掃除をしていたらしく、海くんは手に竹箒とちりとりを持っている。
びっくりして瞬きするわたしに、海くんは何も言わない。だから、わたしも何も言わずにすれ違おうとしたんだけど……?
「どこ行くんだ?」
わたしが海岸のほうに歩き出そうとすると、海くんが急にそう訊ねてきた。
食堂で会ったときから、無愛想で無表情だった海くん。そんな彼が、低い声でわたしを責めるみたいな言い方をしてくるから、なんだか怖い。
「散歩だけど……。悪い?」
ドキドキしながら答えたら、海くんはわたしのことを睨むように見つめて、「別に」と首を横に振った。
「夕方の海は波が高くなるから、気をつけろよ」
低い声で言ったあと、海くんはわたしからふいっと顔をそらして、民宿の中に入っていってしまう。
親切だったのか、なんなのか。よくわからない。
玄関のガラス戸をしばらく見つめて考えてから、わたしは民宿の駐車場を横切った。太一さんに、駐車場から海岸に降りられる階段があると聞いたのだ。
その話のとおり、駐車場からは手摺のついた石の階段が伸びていて。そこから砂浜が続いてる。
ぼそっとつぶやくと、スマホを畳の上に置いて寝転ぶ。しばらく木の天井をにらんでいたけど、モヤモヤした気持ちはおさまらない。
この部屋に、気を紛らわせるものがなさすぎるからだ。
そう思ったわたしは、『たいようの家』の外に出てみることにした。
スマホを持っていくかどうか迷ったけど、またミサやシオリからラインがきたら嫌な気持ちになりそうな気がして。部屋に置いていく。
階段を降りて、渡り廊下を本館のほうに渡って。エンジ色の絨毯の敷かれたロビーを抜けて、靴を履く。民宿の玄関のガラス戸を押し開けて外に出ると、そこで、バッタリと海くんに鉢合わせた。
外の掃き掃除をしていたらしく、海くんは手に竹箒とちりとりを持っている。
びっくりして瞬きするわたしに、海くんは何も言わない。だから、わたしも何も言わずにすれ違おうとしたんだけど……?
「どこ行くんだ?」
わたしが海岸のほうに歩き出そうとすると、海くんが急にそう訊ねてきた。
食堂で会ったときから、無愛想で無表情だった海くん。そんな彼が、低い声でわたしを責めるみたいな言い方をしてくるから、なんだか怖い。
「散歩だけど……。悪い?」
ドキドキしながら答えたら、海くんはわたしのことを睨むように見つめて、「別に」と首を横に振った。
「夕方の海は波が高くなるから、気をつけろよ」
低い声で言ったあと、海くんはわたしからふいっと顔をそらして、民宿の中に入っていってしまう。
親切だったのか、なんなのか。よくわからない。
玄関のガラス戸をしばらく見つめて考えてから、わたしは民宿の駐車場を横切った。太一さんに、駐車場から海岸に降りられる階段があると聞いたのだ。
その話のとおり、駐車場からは手摺のついた石の階段が伸びていて。そこから砂浜が続いてる。



