空と海と、願いごと

「海はおれと違って遠慮してひいちゃうタイプだから。真凛からグイグイいったほうがいいよ」

 グイグイ……。

 戸惑っていると、空がわたしの背中を屋上に向かう階段のほうへと押してくる。それで仕方なく、わたしは空から押し付けられた洗濯物を持って屋上へと向かった。

 開いていた屋上のドアを抜けると、海くんが洗濯機置き場の前で立っていた。

「う、海くん。これ……」

 ちょっとぼんやりしていたみたいな背中に声をかけると、海くんがはっとしたように振り返る。

「あ、え、真凛。ありがと。それ、空に押し付けられただろ」

 そう言って苦笑いしながら、海くんがわたしから洗濯物を受け取って洗濯機に入れる。わたしは、てきぱきと作業を進める海くんのそばに歩いていくと隣に立った。