空と海と、願いごと

「海~、おれ、陸兄に玄関の掃除頼まれた~。だから、洗濯は真凛が手伝うって~!」

 空が口の横に手でメガホンを作って、屋上の海くんに向かって叫ぶ。

「えぇ~!! な、なに言ってるの。そんな急に……」

 両腕に洗濯物を抱えてあたふたしていると、空が悪戯っぽく目を細めて、ぽんっとわたしの背中を押した。

「ほら、早くいかなきゃ。海が洗濯機回せなくて困ってるよ」

「でもこれ、空が頼まれたんじゃ……」

「おれは玄関掃除頼まれてるもん」

「それ、ほんと?」

 ジトッと見ながら尋ねると、空が「さあ?」とふざけて笑う。