「え、あ、真凛? おはよう……」

 わたしと目が合った空の声が、ちょっと動揺したように震える。

「おはよう。ていうか空、なにしてるの? めずらしく早起きだね。それに空が民宿のお手伝いをしてるところなんて——」
「真凛、なんか余計なことしたでしょ……」

『空が民宿のお手伝いをしてるところなんて、初めて見た!』

 そう言おうとしたのに、なんだか顔を赤くした空に軽く睨まれて、言葉をさえぎられる。

「余計なこと?」

「あのさくら貝は、真凛の願いごとを叶えてもらいたくて渡したのに……」

 首をかしげるわたしに、空がぶつぶつと言う。そんな空をぽかんと見ていると、屋上のほうから声が聞こえてきた。