次の日の夕方。学校から帰ってきたわたしは、課題を済ませたあと、時間を見計らって部屋を出た。

 午後6時過ぎ。

『たいようの家』の玄関に降りると、透明ガラスのドアの向こうに箒を持った海くんの背中が見える。

 右手には、昨日、空からもらったさくら貝。それを軽く握って深呼吸すると、わたしは玄関のドアを押し開けた。

 一歩外に出ると、振り向いた海くんが動きを止めて、ちょっとびっくりしたような顔をする。だけど、すぐに何もなかったようにわたしから顔をそらした。

 海くんはあいかわらず、わたしのことを避けている。こんな感じで、ちゃんと気持ちを伝えられるかな。少し不安になったけど、今勇気を出さないとダメだと思う。