「小学生のときに、海から聞いてたんでしょ。おれたちの母さんが考えた人魚とさくら貝の作り話」
「作り話なの?」
「さあ? 少なくとも、おれは作り話だって思ってたよ。海は素直に信じてたみたいだけど」
空がそう言って、ふっと鼻で笑う。
「3年前、真凛は海といちばん仲がよかったもんね。あのとき、真凛ママが病気で入院してて、真凛はすっごく落ち込んでたよね。だから海は、真凛にさくら貝の話を教えたんじゃない? 夕陽が沈むときに海にさくら貝を落とせば、人魚が願いをかなえてくれるよって」
「うん……」
海くんから人魚とさくら貝の話を聞いたのは、『たいようの家』に引っ越してきて、ふたりで岩場で夕陽を見たとき。でも、その話を聞いたのはそれが初めてじゃない。
思い出したわたしの記憶が正しければ、その話を初めて聞かされたのは、3年前の夏。『たいようの家』に預けられることになったわたしが浜辺でひとりで泣いていたときのことだ。
「作り話なの?」
「さあ? 少なくとも、おれは作り話だって思ってたよ。海は素直に信じてたみたいだけど」
空がそう言って、ふっと鼻で笑う。
「3年前、真凛は海といちばん仲がよかったもんね。あのとき、真凛ママが病気で入院してて、真凛はすっごく落ち込んでたよね。だから海は、真凛にさくら貝の話を教えたんじゃない? 夕陽が沈むときに海にさくら貝を落とせば、人魚が願いをかなえてくれるよって」
「うん……」
海くんから人魚とさくら貝の話を聞いたのは、『たいようの家』に引っ越してきて、ふたりで岩場で夕陽を見たとき。でも、その話を聞いたのはそれが初めてじゃない。
思い出したわたしの記憶が正しければ、その話を初めて聞かされたのは、3年前の夏。『たいようの家』に預けられることになったわたしが浜辺でひとりで泣いていたときのことだ。



