空と海と、願いごと

「暉、帰ろう」

 暉くんだけを誘ってから、空が先に歩き出す。

「あ、待って。真凛もいっしょに——」

 暉くんがそう言ってくれたけど、空はどんどん歩いて行ってしまって、わたし達を振り返ろうともしない。

 最近わたしのことを避けるのは、海くんだけじゃなかった。イベントのあとからずっと、わたしは空にも避けられている。

 ふたりが冷たくなったのは、わたしが3年前のことを思い出して余計なことを言ったせいだと思う。

「真凛、行こう」

 沈んだ顔で立っていると、暉くんがわたしの手を引っぱってくる。

「行かない。暉くんが空と帰って」

「でも……」

「わたし、今日、寄り道して帰りたいんだよね」

 にこっと笑いかけると、暉くんが心配そうな目でわたしを見てきた。