空と海と、願いごと

 自分のクラスのホームルームが終わるとすぐに2年の教室に来て空を待っている暉くんは、あいかわらず忠誠心の強い犬みたい。

 教室から出てくる空のことをじっと待っている暉くんを見てふっと笑うと、暉くんが振り向いた。

「あ、真凛」

 にこっと笑いかけてくる暉くんはかわいくて癒される。海くんに冷たくされたばっかりだったのもあって、少しだけ元気が出た。

「空のクラス、まだ終わらないの?」

「うん、なんか、席替えしてるみたい」

 暉くんの横からちらっと教室を覗くと、空のクラスの生徒たちが教科書やカバンを持って机を移動していた。

 すでに席を移動し終えている空は、窓側の後ろのほう。ざわざわした教室で、空はぼーっと窓の外を見て待っている。

 席替えが終わると担任の先生の号令がかかって、生徒たちが出てくる。しばらく待っていると空も出てきた。だけど、暉くんと話していたわたしに気付くと、ぷいっと顔をそらされてしまう。