『母さんが、事故に遭った——』
海くんが夜ごはんの時間になっても戻らないことを心配したお母さんは、海くんのことを探しに行っていた。浜辺の岩場ではなくて、『たいようの家』を離れて、もっと遠くまで。
「母さんが亡くなった直後は、べつに空も海のこと責めたりしなかったんだよ。だけど、心の中でずっとわだかまりがあったのかもな。母さんがいなくなってから民宿もあんまり人が来なくなって、おれたちも家の手伝いをしなきゃいけないことも増えていって。ほかにもちょっといろいろあって。3年くらい前に、空が海に対して爆発した。『母さん死なせたのは、お前だろ』って。それ以来、あのふたりはほとんど口きかない」
その話聞いて、わたしは前に空が言っていたことを思い出した。
『父さんや陸兄があの民宿を建て直したいのは、死んだ母さんがすごく大事にしていた場所だからだと思う』
『まあ、海は、母さんのためっていうよりは、自分の罪滅ぼしのために『たいようの家』をつぶしたくないのかもしれないけど』
海くんが夜ごはんの時間になっても戻らないことを心配したお母さんは、海くんのことを探しに行っていた。浜辺の岩場ではなくて、『たいようの家』を離れて、もっと遠くまで。
「母さんが亡くなった直後は、べつに空も海のこと責めたりしなかったんだよ。だけど、心の中でずっとわだかまりがあったのかもな。母さんがいなくなってから民宿もあんまり人が来なくなって、おれたちも家の手伝いをしなきゃいけないことも増えていって。ほかにもちょっといろいろあって。3年くらい前に、空が海に対して爆発した。『母さん死なせたのは、お前だろ』って。それ以来、あのふたりはほとんど口きかない」
その話聞いて、わたしは前に空が言っていたことを思い出した。
『父さんや陸兄があの民宿を建て直したいのは、死んだ母さんがすごく大事にしていた場所だからだと思う』
『まあ、海は、母さんのためっていうよりは、自分の罪滅ぼしのために『たいようの家』をつぶしたくないのかもしれないけど』



