空と海と、願いごと

「ほら、早く交換しよ。これから一緒に住むんだから、仲良くしようよ。おれのこと、空って呼んで。おれも、真凛て呼ぶし」

 にこにこしながら話を進めていっちゃう空は、めちゃくちゃコミュ力が高くて……。見た目のオシャレ感も相まって、なんか、思ってたよりチャラい。

 わたしは結局、空に流されるままにラインを交換させられてしまった。

 新しく登録された空のアイコンを無言で見ていると、暉くんがコップをふたつ持って近付いてくる。

「空くん、麦茶」

 暉くんは、空の前に麦茶のコップを置くと、テーブルの向かい側に座った。

「ふたりで何話してたの?」

 暉くんが、空と隣り合って座るわたしのことをちらっと見てくる。

「ライン交換してた。真凛と暉も交換しとく?」

「んー、おれはどっちでもいいや」

 空に聞かれた暉くんが、にっこりと笑う。表向きは、愛想のいいかわいい笑顔を見せる暉くんだったけど、なんとなく、目が笑っていない気がする。

 しかも、暉くんが持ってきた麦茶は空と自分の分だけで、わたしの分はない。

 たまたまかな? それともわたし、暉くんにもあんまりよく思われてない……?

 なんだか暉くんからビミョーな空気を感じるけど、そう思うのはわたしだけで、空は何にも気付いていないみたい。