空と海と、願いごと

「ごめん、わたし――」
「真凛は、また海を好きになるの?」

 自分の中にある気持ちを伝えようとしたら、空に遮られた。

「海のこと、好きにならないで。今度は、おれを見て。お願い」

 空のせつなげな声が耳に届いて。空に伝えようと思った言葉を飲み込んでしまう。

 空のことは好きだし、いっしょにいるのも楽しい。だけど、空に対して思う「好き」は、恋の「好き」とはちょっと違う。それを伝えられずに困っていると、空がふっと悲しそうに笑った。

「はは。おれ、変なこと言っちゃった」

 空はわたしを抱きしめていた腕を解くと、立ち上がった。

「海のところ行くんだよね。ごめん、邪魔して……」

 そう言うと、空がわたしの部屋からパタパタと出て行く。