目を開けたとき、わたしは畳の上に寝かされていた。

 ここ、どこ……!? ばっと勢いよく体を起こすと、「真凛」と呼ばれる。

「そんなに勢いよく起き上がって大丈夫? 気分は悪くない?」

 そう言って、水を差し出してきたのは空だった。

「空……? わたし、どうしてここに……」

「イベントの片付けの途中、浜辺で倒れちゃったんだよ」

「そう、なの?」

 倒れたときの記憶はないけど、その直前まで、わたしは浜辺にいたはずだ。

 砂浜で遊んでいた女の子のサンダルが波に流されて。それを追いかけようとした女の子が、波にさらわれそうになったところまで覚えてる。助けを呼ばなきゃ思ったけど、足がすくんで声も出なくて。3年前の夏の記憶が、フラッシュバックした。

 パパやママに聞いても何も思い出せなかったのに。流されたサンダルを追いかけていった女の子のことを見ていたら、忘れていた記憶をいくつか断片的に思い出した。