空と海と、願いごと

「あ、えーっと……。べつに……」

 そろっとラインを閉じようとすると、空くんが無遠慮にわたしの手元を覗き込んできた。

「あ、友達から?」

「うん、まあ……」

「ついでに、おれも今、真凛のラインきいていい?」

 空くんがそう言って、ズボンのポケットからスマホを取り出す。

 たった今出会ったばかりで、まだろくな会話もしていないのに……。いきなり人を呼び捨てにして、連絡先まで聞いてくる空くんは、けっこうなれなれしい。

「え、でも……。空くんとは会ったばっかりだし……」

「真凛は覚えてないかもしれないけど、おれ達、会ったばっかりじゃないよ?」

 空くんが、薄茶色の目を細めていたずらっぽく笑う。

 ちょっと待って。会ったばっかりじゃないって、どういう意味……?

 パパは、太一さんとはわたしが小さなときに会ったことがあるって言ってたけど……。わたしが覚えてないだけで、空くん達とも小さな頃に会ったことがあるのかな……。

 困っていると、空くんがわたしのほうにスマホを突き出してきた。