空と海と、願いごと

 イベントに来ていたお客さんもほとんど帰ってしまっていて。あとは、子ども連れの家族が何組か残っているだけだ。

 浜辺では、幼稚園か小学校低学年くらいかなって思う子どもたちが、打ち寄せてくる波から逃げたり、波を飛び越えようとジャンプしたり。きゃーきゃー言いながら初夏の海を楽しんでいる。

 わたしは水辺が好きじゃないけど、はしゃぐ子どもたちの声を聞いていたら、楽しそうでいいなって思った。

 ちょっとだけ、海のほうに近付いてみようかな……。なんとなくそんな気分になって。海のほう。波がかからないギリギリのところまで歩いて行く。

 サク、サクッと、少し歩きにくい砂浜を進んでいくと、海風がざざーっと吹いてきた。

 顔をあげてみると、沖のほうから砂浜に向かって波が近付いてくるのが見える。

 けっこう大きな波が押し寄せてきそうだ。そんな予感がして、わたしは砂の上を2歩、3歩と後ろに下がった。

 この前、油断していて大きな波に足を濡らされちゃったから。また同じ失敗をしてパニックにならないように、先に防衛。そうしたら思ったとおり、大きな波が、さっきわたしが立っていた場所まで打ち寄せてきて砂浜を濡らした。