空と海と、願いごと

「陸くんたちは、このあとテントの解体とか手伝うって。お茶の箱を運ばないならそっち手伝わなきゃいけなくなるよ。解体したあと、駐車場のトラックまで鉄パイプとかテント運ぶみたいで、けっこう大変だって」

「んー、だったら仕方ない……」

 暉くんに言われて、空がしぶしぶ立ち上がる。

「わたしも手伝おうか?」

「真凛はいいよ。ここで休んでなよ」

 空がにこっと笑って、わたしの頭をぽんとなでる。渋ってたわりに、そういうところはイケメンだ。

「行こう、暉」

「あー、ちょっと。待ってよ、空くん。あとでね、真凛」

 やると決めたら潔い空が、テントを出て歩いていく。そのあとを、暉くんが慌てて追いかけて行った。

 空と暉くんがいなくなると、話し相手もいなくて急に暇になる。テントの下で椅子に座ってぼんやりしていると、「真凛〜」とママに呼ばれた。

「することないなら、このゴミを駐車場の奥のゴミ置き場に入れてきて」

 ママが、燃えるゴミと燃えないゴミに分けられたゴミ袋をふたつ。わたしのそばに置く。

「はーい」

 わたしはゴミ袋を両手に持って立ち上がると、駐車場の奥のゴミ置き場まで運んだ。そのあとゆっくり歩いて戻ってくると、イベントに使われていたテントが全部畳まれて片付けられていた。