空と海と、願いごと

「わあ、すごい。焼きそば完売したんだね」

 張り紙を見た暉くんが、大きな目をさらに見開く。

「そう。おれが頑張って呼び込みしたから」

「空の笑顔にやられて焼きそば買ってくれた女の子も多かったよね~。暉くんたちのほうはどう?」

 暉くんがお手伝いしていたのは、ヨーヨー釣りとか輪投げとか、遊戯系の屋台。今日のイベントには小さい子どももたくさん来ているから、そっちのテントの下にもけっこうたくさん人が集まっていた。

「こっちもけっこう忙しかったよ~。陸くんがゲームやりに来たちびっ子にからまれて、やたらとモテてた」

 陸くん、お兄ちゃんオーラがすごいし、やさしいもんな。暉くんの話を聞きながら、陸くんの周りに小さい子が集まってる姿が想像できてしまう。

「ところで、空くんと真凛は今休憩中?」

「そうだよ」

「だったら、空くん、ちょっと手伝ってもらってもいい? 調理場の大きい冷蔵庫に入ってるペットボトルの箱を全部運んできて欲しいっておじさんに頼まれちゃって。今日のイベントを手伝ってくれたスタッフへの差し入れ用にお茶を用意してるんだって」

「え〜、散々働いたのに、また力仕事? 陸兄とか海に頼めないの? あのふたりのほうが、体力あるじゃん」

 空がだらんと椅子の背にもたれて、不満そうに唇を尖らせる。