空と海と、願いごと

「真凛ママが、こっちで焼きそばの準備手伝えって」

 振り向くと、空がママが準備しているテントの下で手を振っていた。

 わたしが海くんと話していることに気付いたからか、こっちを睨むように見てくる空の目付きがけわしい。

「わかった。すぐ行く」

「ごめんな、引き止めて」

 振り向いて空に手を振ると、海くんが眉を下げて苦笑いした。

「ううん、大丈夫……」

「焼きそば作り、頑張って」

 ゆるりと首を振ると、海くんが口角をちょっと上げて笑いながら砂浜を歩いて行く。その背中をしばらく見送ってから、わたしは空の元へと走った。

「お待たせ」

 テントの下にいた空に笑いかけると、空がわたしにムッとした表情を見せる。

「海となに話してたの?」

「え……?」

「なんか、楽しそうだったから」

 空は誰にでもにこにこしてるのに、海くんが関わるときだけはどうしてかいつも不機嫌。