空と海と、願いごと


 前住んでた東京のマンションのリビングは、部屋もあまり広くなかったし、テーブルも小さめだったけど、ママの趣味で観葉植物が置いてあったりして、綺麗でリラックスできた。

 でも、この『たいようの家』の食堂は、広すぎてちょっと落ち着かない。

 たくさんの人数を、いっぺんに収容するためのスペースっていうか。小学生のときの宿泊学習で行った山の中の宿泊施設の食堂みたい。

 下を向いて座ると、ショートパンツのポケットに入れていたスマホを取り出す。春休み前までは、毎日のようにラインでやり取りしていた東京の中学の友達からは、誰からも連絡が来ていない。

 わたしの引越しが決まったときは、ミサもシオリも「絶対毎日ラインするね!」って約束してくれたのに。中1のときに仲良くしていたふたりからは、昨日も今日もラインがない。

〈引越し先に着いた。そっちは、なにしてる?〉

 ここ何日かは使ってない、ミサとシオリとのグループトーク。そこにメッセージを入れていると、隣でカタンと音がした。

「なにしてんの?」

 ビクッと顔をあげると、いつのまにか空くんが隣に来ていて。テーブルに肘をついて、にこっと笑いかけてきた。