「なんか、楽しそうだな」
「え、べ、べつにっ……!」
急に話しかけられたことにびっくりして、思わず声が裏返った。恥ずかしくなって手のひらで口を押さえると、海くんがふっと笑う。
海くんはいつも、にこにこ〜って全開では笑わない。ふだんはあまり感情を表に出さない海くんには、目を細めて、ふっと息を吐く控えめな笑い方が似合う。海くんの笑う顔を見ていると、ほんの少しだけ、心臓の音が速くなるような気がした。
実を言うと、ふたりだけのときにこんなふうに海くんに話しかけられたのはひさしぶりだ。
同じ家に住んでいるし、学校では同じクラスだから、お互いに毎日顔を合わす。だけど、1ヶ月前にふたりで夕陽を見たときから、海くんはわたしとふたりだけのときに話しかけてこない。それになんとなくだけど、海くんはわたしとふたりだけにならないようにしている気がする。
そのことを寂しいなって思うけど、海くんがわたしとふたりにならないようにしているのは、空のせいなのかもしれない。わたしが海くんといると、空が少し不機嫌になるから……。
特に会話をするわけでもなく、海くんとお互いに見つめ合っていると、「真凛〜」と呼ばれた。
「え、べ、べつにっ……!」
急に話しかけられたことにびっくりして、思わず声が裏返った。恥ずかしくなって手のひらで口を押さえると、海くんがふっと笑う。
海くんはいつも、にこにこ〜って全開では笑わない。ふだんはあまり感情を表に出さない海くんには、目を細めて、ふっと息を吐く控えめな笑い方が似合う。海くんの笑う顔を見ていると、ほんの少しだけ、心臓の音が速くなるような気がした。
実を言うと、ふたりだけのときにこんなふうに海くんに話しかけられたのはひさしぶりだ。
同じ家に住んでいるし、学校では同じクラスだから、お互いに毎日顔を合わす。だけど、1ヶ月前にふたりで夕陽を見たときから、海くんはわたしとふたりだけのときに話しかけてこない。それになんとなくだけど、海くんはわたしとふたりだけにならないようにしている気がする。
そのことを寂しいなって思うけど、海くんがわたしとふたりにならないようにしているのは、空のせいなのかもしれない。わたしが海くんといると、空が少し不機嫌になるから……。
特に会話をするわけでもなく、海くんとお互いに見つめ合っていると、「真凛〜」と呼ばれた。



