空と海と、願いごと

「それでね、工事が終わってホームページの準備も整ったら、『たいようの家』の宣伝のために、プレオープンイベントをするんだって」

「プレオープン？」

　ママの話に、わたしと空と暉くんは、顔を見合わせて首をかしげた。

「そう。パパたちは、民宿の裏のビーチで食べ物やゲームの屋台を出してお祭りみたいなことをしたらどうかって考えてるみたい」

「へえ、そこにママも料理を出すの？」

「前にみんなに試食してもらった海鮮焼きそばを出そうかなって思ってるわよ」

「へえ、あれ、おいしかったもんね」

「たくさん人が集まるといいね」

　空たちと話していると、ママが呆れ顔で笑った。

「なに言ってるの。真凛も空くんも暉くんも、イベントスタッフとして働いてもらう予定よ」

　完全にイベントのお客さん側で楽しむ予定だったわたし達は、顔を見合わせて頬を引きつらせた。

　夏の海でのイベントスタッフなんて……。暑いし、絶対大変じゃん。

　炎天下で、汗をダラダラ流す自分の姿を想像するだけで嫌になる。