空と海と、願いごと

「よかったら、全種類食べて、どれがおいしかったか聞かせてね」

 ママはカゴに出してきた以外にも、ビザ風パンやチーズパンなど、いろいろな種類のパンを焼いていた。

 どれも美味しそうだけど……。さすがに量が多すぎるような……。

「ママ、どうして今日は大量のパンを焼いたの?」

「昨日の夜、他の個人経営のペンションやコテージがどんなメニューを出してるのかいろいろ調べてたのよ。そしたら、朝食に手作りパンを出してる宿が結構多くて。やってみたくなっちゃった」

 聞いてみると、ママがちょっと照れくさそうに笑う。

 たしかに、別荘地がたくさん集まってるような森のコテージで朝食に手作りパンが出たらオシャレだな。でもそれは、森の中のコテージだからオシャレな感じがするのであって、『たいようの家』みたいなオンボロ民宿に手作りパンなんて似合う……?

 考えていたら、別の種類のパンをカゴに入れて持ってきたママが、わたし達3人の顔を見て「あ、そうだ!」と、声をあげた。