空と海と、願いごと

　なに……？　宣戦布告？

　海くんの目力に対抗しようと、さらに眉間に力を入れたとき……。パパが、４人の男の子たちの前に一歩進み出た。

「民宿を立て直すために、僕と妻も全力でお父さんのことをサポートするから。これから、よろしくね」

　パパが笑って手を差し出すと、４人の男の子たちがそれぞれに顔を見合わせる。それから、みんなを代表してって感じで、いちばん年上の陸くんが前に出てきた。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

　パパに丁寧に頭を下げる陸くんは、やっぱりひとつ違いとは思えないくらいにおとなっぽくてしっかりしてる。

「じゃあ、挨拶も終わったことだし、お昼にしようか。俺と子どもたちとで作ったカレーだから、料理のプロのゆり子さんに食べさせるのはちょっと恥ずかしいけど……」

　太一さんがそう言って、奥の広い調理場へと向かう。

「一生懸命作ってもらえたお料理の味に、プロも素人も関係ないですよ。さっきから、すっごくいい匂いしてきてたし。準備、手伝いますね」

　ママは笑うと、太一さんについて調理場に行ってしまう。

　パパは握手した陸くんと、そのまま楽しそうにおしゃべりをしていて。ひとり残されたわたしは仕方なく、食堂のテーブルの一番端っこに腰かけた。