空と海と、願いごと

「今日作ったのは、ハムチーズとコーンマヨネーズとさつまいもパン」

「わあー、うまそう。いただきます!」

 ハムチーズとコーンマヨネーズはうちでもたまに作ってたけど……。さつまいものパンは初めてかも。

 両手に1種類ずつパンをとって食べ始めた空を呆れ顔で見ながら、わたしもさつまいものパンに手を伸ばす。

 ごろっとしたさつまいもが生地に練り込まれたパンは、ほんのり甘くて、なかなかおいしい。

「おれももらっていいですか?」

 わたしと空が食べていると、暉くんが遠慮がちにママに尋ねる。

 石倉さん達には強気な態度をとってたくせに。こんなところで、暉くんは人見知りで消極的だ。

「暉くんも、どうぞ遠慮なく食べて」

 ママがパンの入ったカゴを暉くんのほうに向ける。

 カゴの上でうろうろと手を彷徨わせたあと、暉くんが手に取ったのはコーンマヨネーズ。それをひとくち食べた暉くんは、静かに目を輝かせていて。その反応を見たママは、なんだか嬉しそうだった。