「入り口塞がれたら迷惑なんだけど……」

 先頭で出てきた石倉さんが、わたしをジロリと睨んでくる。

 べつに入り口を塞いでいるつもりはなかったし、石倉さん達が通れるだけのスペースは十分にあった。だけど、女子3人から一斉に睨まれたら、わたしが悪いみたいに思えてくる。

「ごめん……」

 いちおう場所を避けると、わたし達の会話を聞いていた暉くんが、石倉さん達のことを不満そうにジロリと睨み返した。

「なんで真凛が謝るの? 別に、入り口塞いでないし。おれ達がここで喋ってても、通行の邪魔にはなってなかったと思うけど。ブスなんて、ほっときなよ」

 可愛い顔をして、暉くんが《ブス》ってワードをやたらに強調する。

 一個下の暉くんに悪く言われたとわかると、石倉さん達の顔が真っ赤になった。