ドアの外で可愛く手を振ってくる暉くんの元へ行こうとすると、隣のクラスから空が出てきた。

「うわ。また暉、いる。おれ、たまには真凛とふたりだけで帰りたいー」

 わたしが暉くんといっしょにいると、空はちょっと不満そうだ。

「おれは、空くんと真凛といっしょに帰りたいもん」

 わたしと空のあいだに入って、左右の腕を絡めてくる暉くんを空がうっとおしそうに見おろす。そんな空は、本気で暉くんのことを邪魔に思ってるわけではないみたい。だからわたしも、笑ってふたりのそばにいられる。

 それに、暉くんをあいだに挟んで空といっしょにいる今の状況が、わたしにはけっこう居心地が良い。

 いまだに告白の返事を保留にしているせいで、空とふたりきりになるのはちょっと気まずいし。ふたりだけになったとき、今までみたいに普通どおりに空と接することができるかわからない。

 廊下でじゃれている空と暉くんのことを見て笑っていると、石倉さん達のグループが教室から出てきた。