「約束してよ、真凛。明日はおれのこと、避けないで」

「避けてたわけじゃないよ」

「そう?」

「うん」

「おれ、真凛のこと、ほんとに好きだから」

 空が、わたしの顔色を窺うようにじっと見てくる。

 薄茶色のビー玉みたいな綺麗な目。海くんとよく似たその瞳に、気持ちをためされているみたいだ。

 今ここで、わたしも「空が好き」って。ためらいなく言えたら、空は明るい笑顔を見せてくれるんだと思う。

 だけど……。目の前にいる空が優しいのに、わたしはドアの向こうに見えなくなった海くんがどうしても気になってしまう。

 こんな気持ちになるのは、おかしいのかな――。